カップルでの過ごし方

四季味亭ふじや宿物語～カップル旅行編～

レンズを当して、やっと正面から見られた。
なぜか照れくさい、２人きり初めて旅。

レンズを当して、やっと正面から見られた。なぜか照れくさい２人きり初めて旅。黒磯板室インターで降りると、真っすぐアウトレットに入っていく。彼女の希望は最初に叶えておかないとな、なんて思いながら。ついつい一緒に買い物を楽しんでしまった。紙袋をトランクに仕舞い、宿へ向かう途中の大吊橋にも立ち寄る。「怖いよ…」とつぶやく彼女の手をしっかり握りしめたら、あとは旅館へ。

予約した部屋は、２人だけのプライベートな空間。けれど食事の時には別室へ向かう。僕の好きな日本酒と彼女の好きなワインも揃い、上機嫌の様子。よかった、と安堵する。

夕暮れが塩原の空を紺碧にしていく。その最高の景色の中、露天風呂へ。温泉でしっかり温まりすぎた僕は、デッキに座って夕涼み…。その時後ろで、がたん、と音がする。「ね、私も入っていい？」期待してなかったといえば、ウソになる。「どうぞ」なんて格好良く言ってみたりして。「わ、月がキレイ」と湯に浸かる彼女の横顔。ああ、来てよかった。ホント良かった…。

翌朝はチェックアウトの後に、宿のスタッフの勧めで母屋を見せていただいた。風情ある造りに、２人で驚きつつも記念撮影。 ファインダー越しに見える笑顔が、何だか昨日よりも眩しい。

帰り道には、「湯っ歩の里」へ。裸足になって無邪気に足湯回廊を歩く彼女の背中を見ていたら、くるりと振り返って「あのね、今日はありがとう」。あ、先に言われちゃったな…。

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